株式会社電通は、従業員500人以上の国内企業所属の経営者(経営者・役員・本部長/部門長・部長職以上)364名を対象に、「マーケティングDX調査2021」(以下「本調査」)を実施し、調査結果を発表しました。

大手企業では、マーケティングDXの取り組みが進んでいますが、中堅、中小企業は、どの程度か気になるところですが、弊社の実感値としては、2018年頃から比べ、比較的、取り組みが進んでいると感じています。マーケティング分野では、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(セールスフォースオートメーション)などの導入が進んでいる印象です。

また、マーケティングDXの取り組みが有効なのは、社員数の多い大手企業に限らず、むしろ少人数で経営する企業にとっても、大きな成果をもたらしてくれます。
・マーケティングや営業に纏わる事務処理の軽減。
・マーケティングや営業に纏わるリポーティングの工数削減。
・経営指標にあたるデータの抽出。
・見込顧客や既存顧客の興味関心やマーケティングデータの活用。
・社員の生産性の向上や営業や事務の工数削減。

月額数万円で、事前に指定したレポートやシステム内の処理を自動化出来るため、マーケティング部門の優秀な担当者をひとり雇うより、大きな成果をもたらしてくれます。
また、中小企業でマーケティング担当者を採用する予算がないという経営者には、マーケティングDXの取り組みは価値があると感じます。

 今回の調査では、「マーケティングDX」を”生活者を中心に捉え、デジタルを活用した新たな顧客体験の創造を通じた事業・マーケティング活動全般の変革”と定義し、【図表1】に示す⓪DX戦略(ビジョン、顧客志向性、DX進捗度)とマーケティングDX推進に重要な4つの領域(①顧客体験変革、②システム変革、③データ・人材変革、④組織・業務変革)における自社の取り組み状況や重要度などを聴取し、2020年に実施した調査との経年比較や、マーケティングDXで成果を創出している企業の特徴・傾向を分析しました。

【図表1】電通が定義するマーケティングDX領域
【図表1】電通が定義するマーケティングDX領域

<主なファインディングス>
(1) マーケティングDXの取り組みを進めている企業は86.8%に上り、成果が出ている企業も49.6%(2020年)から60.4%(2021年)に増加した。
(2) マーケティングDX関連領域①~④における取り組みは、「金融」「情報通信」で前年より進展しており、「消費財」は横ばい。
(3) 「マーケティングDXで成果を創出している企業」は、そうでない企業と比べて、人材や組織、顧客体験を重視する傾向が見られた。

<詳細データ>
(1) マーケティングDXの取り組みを進めている企業は86.8%に上り、成果が出ている企業も49.6%(2020年)から60.4%(2021年)に増加した。

【図表2】マーケティングDXの取り組み状況と成果の有無
【図表2】マーケティングDXの取り組み状況と成果の有無

(2) マーケティングDX関連領域①~④における取り組みは、「金融」「情報通信」で前年より進展しており、「消費財」は横ばい。

 マーケティングDX関連の4領域(①顧客体験変革、②システム変革、③データ・人材変革、④組織・業務変革)それぞれに関連する複数の設問について、自社の現在の取り組み状況を5段階評価で回答してもらい、平均値を「取り組みスコア」、前年と比較した結果を「伸長率」として算出した。「金融」「情報通信」「消費財」の3業種についての傾向は以下の通り。

●「金融」は、他業種に比べて全体的に「取り組みスコア」が低い一方で、前年からの伸長率が高く、特に「③データ・人材変革」「④組織・業務変革」領域の取り組みが進展している。
● 「情報通信」は「取り組みスコア」が全体平均より高く、領域別では、「④組織・業務変革」の伸長率が高い。
●「消費財」も「取り組みスコア」が全体平均より高い一方で、前年からの伸長率はほぼ横ばい。

【図表3】マーケティングDX関連の4領域における、業種別の取り組みスコアと前年からの伸長率

【図表3】マーケティングDX関連の4領域における、業種別の取り組みスコアと前年からの伸長率

(3) 「マーケティングDXで成果を創出している企業」は、そうでない企業と比べて、人材や組織、顧客体験を重視する傾向が見られた。

 「マーケティングDXで成果を創出している」グループが、「成果を創出できていない」グループに比べて「重視している取り組み」の高い項目を分析すると、「マーケティング施策のデータ収集と蓄積」というDXの基本的な要素に加え、人材や組織、顧客体験に関連する施策が上位に挙げられた。

【図表4】重視しているマーケティングDX関連の取り組み
    (マーケティングDXで成果を創出しているグループと、そうでないグループの差分)

【図表4】重視しているマーケティングDX関連の取り組み

電通では、各企業が、「マーケティングDX」推進における自社の現在地・課題を客観的に把握し、取り組みの優先順位付けができるよう、「DX診断」を無償で提供しています。また、人材・組織に関するニーズの高まりに応え、企業内の「組織別」のDX進捗度を可視化するソリューションとして「DX診断 for Internal Divisions」も有償で提供しています。 URL:https://www.d-sol.jp/solutions/dx-shindan

引用元: 電通