いま、ChatGPTを導入した多くの企業で、ある“共通の悩み”が聞こえてきます。月額契約してツールとして導入はしたものの、「Chat GPTはすごいが、業務に使いこなせない」「月額契約して、従業員に使わせてるが、何も変わらない」といった声です。導入前の期待値が高かっただけに、ギャップにがっかりしてしまうことも多いようです。
こうした現象の裏には、“生成AIを契約さえすれば自然と成果が出る”という思い込みがあることが少なくありません。しかし、どれほど優秀なAIでも、現場の業務に落とし込むための“設計”ができていなければ、まるで使いこなせません。包丁を買ってきたからといって料理が上手くなるわけではないのと同じです。
では、ChatGPTを活かすために、最初にやるべきこととは何でしょうか？
- 従業員に使い方を教える
- 高性能なプロンプトを配る
- 業務フローの棚卸しをする
- 上司に使わせる
……正解は「業務フローの棚卸しをする」です。
なぜなら、業務そのものが整理されていなければ、AIに“何をやらせるべきか”すら決まらないからです。生成AIの出番は、明確な作業が存在し、それを反復できるようなパターンがあるところ。つまり、棚卸しなしでは入口にすら立てないのです。
生成AIは“段取り”が9割
ChatGPTは確かに優秀なAIですが、適材適所で活躍できる場面は限られています。たとえば、「議事録をまとめる」「定型文をつくる」「簡単な資料のたたき台をつくる」など、明確なインプットがある場合は本領を発揮します。しかし、業務自体が曖昧だったり属人化していたりすると、AIが何をすべきか判断できません。
生成AIを業務に活かしている企業の多くは、共通して“事前の準備”をしているのが特徴です。具体的には、以下のような取り組みが見られます：
- 現状の業務手順を洗い出して、どこが自動化できるかを検討
- AIが活用しやすいフォーマット（たとえばテンプレや指示文）を準備
- 小さな業務からテストで動かし、どの業務に向いているか調査を行う
AI活用の成功は、ツールの性能よりも「導入の設計力」によって決まると言っても過言ではありません。
成果を出す企業は、まず○○から始めている
では、実際に生成AIで成果を出している企業は、どこからスタートしているのでしょうか？意外にも、その第一歩は“プロンプトの工夫”でも、“使い方研修”でもありません。
答えは、「業務の棚卸しと整流化」です。
たとえばある企業では、まず「1日の中で繰り返し行っている作業は何か？」を洗い出しました。すると、報告書の構成や営業メールの文面など、似たような内容を毎回つくり直している非効率が明らかに。そこにChatGPTを導入したところ、手間が3分の1に。しかも“考える時間”が減ったことで、スタッフのストレスも軽減されたというのです。
このように、生成AIの真の活用は、「どの業務に組み込むか」の見極めと、「実験→改善→定着」の流れを作ることにあります。
ChatGPTを契約してから数ヶ月。「なんかイマイチだな…」と感じている方こそ、いまこそ“使い方”ではなく“使う土台”を整えるタイミングかもしれません。
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